適用農薬と登録品種の話

よく読者の中で農薬取締法による適用農薬の使用方法、それに種苗法による登録品種、あるいは外国パテント品種についてのご忠告を頂くので私の考えを少し整理しておこうと思います。
 
先ず野菜や果樹に用いる農薬の使用方法ですが、ご存じのように農薬にはすべて適用作物が規定されています。これは農薬開発時に適用作物を想定しいろいろな実験を繰り返し、その安全性が確認された物のみが登録できるからです。ですからキャベツや大根のようなメジャーなものはともかく、BBのように日本ではマイナーな作物については、実験で莫大な費用と時間を費やすほどの費用対効果が期待できないので、適用される農薬は必然的に少なくなります。
問題はこの農薬適用の安全性ですが、それは濃度や量においてその作物に安全かどうかがまず試されます。
しかる後に人への安全として残留度だとか毒性がチェックされるわけですが、人への安全性はどちらかというと厚労省の所管です。
ですから登録を許可する農水省においては農薬の残留度と毒性に関する一般的な事項を以って農薬の人への安全基準としているわけで、開発実験の大部分は作物に対する薬効と安全性と見て良いわけです。
恐らく今後は単品の作物より作物群、あるいは果樹群としての許可の方向が強まるでしょう。
以上の2点から、農薬を適用作物以外の作物に使用することは、これはあくまで作物を他へ売却するような営利目的で無い限り、有りうると考えるべきでしょう。
何事も自己責任というものは有ります。そこまで法律で決めてもその実行は出来ないからです。
私は農薬の使用回数とその濃度、そして収穫までの期間については留意しますが(もちろん食物素材対象の農薬と言う意味ですよ)、適用作物にはそれほど重要視しません。むしろ野菜果樹の対象害虫、同対象病原菌に対して農薬は使用するものであって、決して作物に対して使用するものではないと考えるからです。
もちろん、実験で適用作物以外は農薬の作物に対する安全性は留保されていませんので、適用作物以外の作物に使用した場合、枯れなどの被害があったとしてもそれは自己責任だと思うからです。只、花、用材や庭木などの樹木、芝等食材以外のみを対象としている農薬(そう言うモノが有ればの話ですが)は議論の外ですけどね^^
 
次に種苗法による登録品種の取扱ですが、勝手にそれを増殖したりすることは禁止されてるケースがほとんどです。それはそもそも種苗法知的財産権を保護する目的がある以上当然のことで、それによって品種改良の情熱が損なわれないようにすると言う法の理解もしているつもりです。
ただ営利目的で増殖したり、あるいは果実を販売する目的ではなく、私のように全くの趣味で植物栽培をしている者にとっては、最初の購入がちゃんとした価格と相手先からのもので有れば、厳密に繁殖やその改良が禁止されているとは言えないと思っています。
何でもそうですが、趣味家の間ではそれを接ぎ木したり交配して新しい品種を作ってみたいというのは常識です。
ちょうど音楽の趣味家が1枚のレコードをテープに取ったり、保存したりするのと同じことだと思います。
いわゆる著作権に触れない程度の楽しみという訳です。
 
浅学な狭義の解釈で法律を盾に取ったような考え方をする人は意外と多いです。庶民の正義感と言えば様になりますが、それは極めて薄っぺらい知識であり、親切心からの忠告というよりむしろ嫉妬心からのお上への密告に似たところがありますね。法律を守って律儀に生きたいという希望も判りますが、所詮は被支配階級の悲しいサガというべきでしょうね。
 
適用、非適用にかかわらず、より人体に影響のない農薬の選択をすること、その農薬の特質を理解して最小限の使用にとどめること。
又登録品種については、せっかく買った大事な苗を枯らさず立派な実を付けさせ、その良さを味わうこと、
そして農薬でも登録品種でも開発者の意図をよく理解し、すべては自己責任でやること。
 
それがわたしの考えであり実際にやってることです(^-^) 子供は決して真似しないように^^